禿げに気付いた私と周囲の反応
私が「はげ」に気が付いたのは息子の指摘でした。
髪をしている私を上から覗き込んでいるので、わかったのです。
自分自身よりも息子が先に気が付いたのでそれはショックでした。
薄毛にきづかなかったのは?
家族や職場の中で一番背が高く、あまり頭の上を見られないということと、
大学生時代から髪型が変わらず、
問題の個所はてっぺん近くなので気づかれにくいというのが、
発覚の遅れた理由だと思いましたが・・・。
「いや、待てよ。気づいたところで人は『いやあ、はげたねえ』とは
なかなか言えないだろう。
ある程度の仲ならそれもあるだろうが・・。
「あれ? 今まで仲がいいと思っていたのはおれの方だけだったわけ?」
などと、戸惑いと不安からすっかり混乱し疑心暗鬼になってしまいました。
私は何から始めればいいのでしょうか
現在進行形ではあるものの髪の毛はまだあるにはあるし、
角度によってはこれまで同様気づかれないかも知れません。
今のうちに髪の毛によさそうなものを食べたり飲んだり、
すりこんだりぬったりもんだりすればいいかな・・ と、
私の混乱は収まりません。
そこで、どれくらい周囲は気づいていたのか、こそっと確認することにしました。
最初は床屋です。
個人経営の店で、学生のころから行っているその店の主人は
私の髪の毛の変化に気付いていないわけがありません。
比較的話し易いし話題にもしやすいので試しました。
「いやあ、最近気が付いたんだけど随分やばくなっててさあ」と私 。
すると、「私なんかはこれですもん」といつもの被り物をとって
すっかり広くなった前頭部を見せる主人。
「いつごろから気づいてたの?言ってくれりゃいいのに。俺、平気だよ?」
「まあ、私から言うことはないですねえ。」
ほほえみを浮かべながら多くを語らない店主。
この後いろいろな角度から突っ込んでやっと聞き出せたのが
「お客さんが少しでも口にしてくれればそこがスタートですね。」と。
なるほど、奥の深い思いやりの心だなあなどと感心しつつ 。
次は付き合いの長い飲み屋。
カウンター越しに向かい合って話すのだから頭の上も見えるだろう。
「いやあ、最近気が付いたんだけど随分やばくなっててさあ」 と
冗談っぽく切り出すと
当たり障りのないようににっこり笑う主人。
すかさず横から女将が 「年輪、年輪」と満面の笑顔でお酌。
ここでこれ以上この話題は野暮だな、とリサーチ終了。
客商売は絶対に口を割らないので職場で聞こうかとも思ったものの、
気まずい思いをさせるだろうとの考えに至り、
勝手に「禿問題」は問いかけた側を満足させる答えはないことを
世間の方が知っている。と結論付けました。
自分より遠い関係の禿を笑つても、近い禿のことは思いやる人が多いのだと感じ、
オープンにしながら禿に抵抗していこうとスタンスを定めることにします。